【今月の掲示板】
「人を信じよ。しかし、その百倍自らを信じよ」 手塚治虫のことば
“福徳と智慧”
まさに光陰矢の如し、今年一年が終わろうとしています。
さて12月8日は、お釈迦様がさとりを開かれた「成道の日」として知られています。
お釈迦様は出家の後、身体を徹底的にいじめる苦行を6年されましたが、その身が骨と皮だけになってもさとりを得られることはありませんでした。苦行の無益を感じ、菩提樹の下で深い瞑想に入られたお釈迦様は遂にさとりを開かれ、ブッダ(目覚めた者)となられたのです。一方で、自らさとった法(おしえ)が深遠で難解なため、他人に教えを説くことを躊躇されたといいます。結果的には、少なからず教えに耳を傾ける人がいる限り、その法を説くことを決意されます。その最初の説法の相手が「五比丘」と呼ばれる、もともとの苦行仲間の五人でした。彼らは苦行をやめていたお釈迦様に最初こそ反発しましたが、その教えの素晴らしさに気づき、修行を経て全員がさとりに到達しました。
前出のように、さとりを開いた方をブッダと呼称しますが、その特性は「福智」、すなわち福徳と智慧を共に備えた方だと考えられます。福徳とは功徳ともいい、他者のための善行やその利益を指します。他者に利益を与えるので利他といいます。智慧とは物事を正しく判断し、道理を見抜く深い考察のことです。自らのさとりに不可欠なので自利といいます。この自利と利他を共にあわせ持つ人こそブッダと呼ばれるのです。
お釈迦様が私たちに示された幸福への道はこの自利利他に他ならないかと思います。“自らを大切にし、他者も同じように大切にする”、これは簡単に聞こえますが、私たちが忘れがちになってしまうことでもあります。ですから日々、仏さまに手を合わせる時間が大切なのではないかと思います。
少し話が変わりますが、自利の智慧はお釈迦様が最初に心配されていたように私たち凡夫にとっては非常に難解です。だからこそ浄土教の教えが必要となってきます。この智慧を信心の力で補うのです。阿弥陀如来の本願を信じて念仏し、極楽に往生して智慧を獲得するということです。難しい修行がいらない簡単な念仏は、まさに有難い教えといえましょう。
本年最後のお便りもお読みいただきありがとうございました。
皆様どうぞよいお年をお迎えください。
合掌
当山の御本尊である阿弥陀如来像は、右袖が垂れていないので「片袖の弥陀」とも言われます。
12月8日の成道会、そして初めて説法を受けた五比丘をモチーフにしています。菩提樹の下で悟りを開かれたことから、菩提樹の葉を消しゴムハンコにしています。詳しくは今月の法話をご覧ください。
「宗尊親王和歌シリーズ」です。親王像の絵は御奉納いただいたものを参考にしています。宗尊親王は当山の開基(創建者)です。史上初の皇族将軍として鎌倉幕府6代将軍に就き、その後更迭されるなど波乱に満ちたご生涯を過ごされました。和歌に非常に長けられ多くの作品を残されました。
解釈:霞がかった春の夜から霜が降りる冬の夜まで月を眺め愛でてきたが、それも積もれば年老いていくとばかりに暮れていく年であるなあ。
ゆず湯と雪だるまを舐めるネコです。
お写経を納め、阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。
【12月の写経会はお休みとさせていただきます】
次回は1月28日です。
*写経会の詳細は こちらから
>「京都時宗道場御朱印巡り」
年間行事予定(令和4年)
・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり
・毎月第4土曜日14時~17時…写経会
・1月9日…総代会
・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)
・4月8日…花まつり(釈尊降誕会)
・9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)