カテゴリー: 忍ぶ心

11月のお便り(令和4年・102号)

 【今月の掲示板】

「怨みは怨みを捨ててこそ息む」釈尊のことば

11月 102号 平安是福

平安是福へいあんこれふく

朝夕がひときわ冷え込むようになってまいりました。寒暖の差が激しいですので体調管理には十分お気を付けください。

さて、今月の御朱印には「平安是福」と書かせていただいております。読んで字のごとく、平和で安穏なることが私たちにとって幸福である、という意味です。今、世界ではロシアのウクライナ侵攻に端を発する戦争が起こっています。他にも紛争地域は数多く存在します。これらには複雑な歴史背景や宗教、政治が絡んでいるのだとは思いますが、感情による部分も大きく、憎む相手を許せないことも争いの長期化につながるのだろうと思います。

お釈迦様の教えが説かれた原始経典には、争いについて次のように示されています。「殺そうと争闘する人々を見よ。武器を執(と)って打とうとしたことから恐怖が生じたのである。(『スッタニパータ』)」、「怨みに報いるのに怨みをもてば、ついに怨みの息(や)むことなし。怨みを捨ててこそ息む。これは永遠の真理である。(『ダンマパダ』)」

まずお釈迦様が否定されているのは武器、つまり暴力です。たとえ争いが起きたとしても暴力を使えば解決の道は遠のきます。また近年はハラスメントがしばしば取り上げられるように、暴言、悪言もまた争いの種です。家庭や職場内でも気を付けたいものです。

そして、憎しみに憎しみで応じればまた新たな憎しみが生まれ、負の連鎖が止まらないとも説かれています。個人であれ国家であれ、自身にとって憎い存在、敵対的な存在は排除したいと考えるでしょう。そこには必ず闘争が起こりますが、歴史を見ても闘争によって幸福がもたらされることはないのです。お釈迦様は“敵対”という考え方自体を捨て、縁でつながる存在として相手を認めることが大事だとおっしゃっているのではないでしょうか。

宗祖一遍上人も弟子たちへの規範を示した「時衆制誡」の中で「もっぱら柔和の面を備えて、瞋恚しんにの相を現すことなかれ。(優しく穏やかな表情で接し、怒りや憎しみの様相を出してはならない)」と説かれています。

個々人がお釈迦様や一遍上人の教えを大切にし、時には自戒しながら正しい道を歩むことが平安への一歩となるのでしょう 合掌

合掌

 

令和4年11月限定御朱印(片袖の弥陀・300円)

当山の御本尊である阿弥陀如来像は、右袖が垂れていないので「片袖の弥陀」とも言われます。

今月は、境内のシュウメイギクをイメージしています。肉厚の花びらが可愛いですよね。

 

令和4年11月限定御朱印(平安是福・800円)

当山の庭の小さな石仏、本堂前の柱の獅子をモチーフにし、平和の祈りを込めています。「平安是福(へいあんこれふく)」は平和と安穏こそが幸福であると言う意味です。「瞋恚(しんに)の相」とは怒りや憎しみの様相をいいます。詳しくは今月の法話をご覧ください。

 

令和4年11月限定御朱印(鹿の声・宗尊親王和歌、柄付き和紙、見開き書置き800円)

「宗尊親王和歌シリーズ」です。親王像の絵は御奉納いただいたものを参考にしています。宗尊親王は当山の開基(創建者)です。史上初の皇族将軍として鎌倉幕府6代将軍に就き、その後更迭されるなど波乱に満ちたご生涯を過ごされました。和歌に非常に長けられ多くの作品を残されました。

「寝ねずこそ 妻恋ひすらし 小倉山 今宵も聞けば さ牡鹿の声」

解釈:寝ずに、妻を恋い慕っているらしい。小倉山で今宵もまた聞いてみると、それは牡鹿の声であった。

 

写経奉納限定御朱印(500円・月替わり11 月)

松ぼっくりと落ち葉で寝る猫です。
お写経を納め、阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。

【11月の写経会は26(土)です】

12月のお写経はお休みとさせていただきます

*写経会の詳細は こちらから

 

 

>「京都時宗道場御朱印巡り」

 


年間行事予定(令和4年)

・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり

・毎月第4土曜日14時~17時写経会

・1月9日…総代会

・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

・4月8日…花まつり(釈尊降誕会)

9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

9月のお便り

今月の言葉

「怒りに等しい損失はない」

『法句経』

“智恵あるものに怒りなし”

最近、またしてもメディアを騒がせた高速道路での「あおり運転」。2年前の痛ましい「東名高速夫婦死亡事故」の記憶も新しく、厳罰化等、早急な対策が求められています。

「あおり運転」も含め、暴力沙汰の加害者になりやすい人の特徴としては、ストレス耐性の低さが挙げられるようです。例えば、運転中には当然他の車や信号、歩行者、走行速度、到着時間など気にしなければいけないことも多く、そのストレスへの忍耐力が低いと、怒りを生み出してしまうということです。

お釈迦様は、怒りそのもの自体も損失であるとおっしゃり、また、怒りをぶつけられたときも決して怒り返してはならないと説かれました。

「怒り」に関する次のようなエピソードが残されています。

ある時、異教徒の青年がお釈迦様に向かって罵詈雑言を並べました。お釈迦様は黙って暴言を聞いておられましたが、青年が話し終わると、静かに尋ねられました。

「あなたは、お客を家に招くことがあるか」

青年は答えます。「もちろんだ」

「お客がそのとき、あなたの出した食事を食べなかったらどうするか」

「自分や家族で食べるだろう」

「今あなたが出した罵り、侮辱を私は受け取らなかった。その罵り、侮辱は、誰のものになるのか。自らに返ってくるよりほかないだろう」

さらに偈頌(詩文)で次のように示されました。

“侮辱する人に侮辱を返す人 怒る人に怒りを返す人 喧嘩を売る人の喧嘩を買う人

侮辱はその人のものになる 怒りはその人のものになる  喧嘩もその人のものになる”

お釈迦様のこの言葉で青年は恥じ入り、仏教に帰依するようになったということです。

“売り言葉に買い言葉”とも言いますが、ついつい私たちは何か心外なことを言われると、言い返したくなります。ここに意地やプライドが混じってくると、怒りが怒りを呼び、さらに事態は悪化してしまうことは皆さん経験があるのではないでしょうか。お釈迦様のように相手のどのような態度にも動じず、寛容な心で接するというのは難しいかもしれませんが、相手の喧嘩を買ってしまえば、相手と同じ土俵に立ったことになるというのは肝に銘じておかなければなりませんね。

間もなく迎える秋のお彼岸。お彼岸というのはご先祖様の供養のほかに、仏道修行の期間という意義があります。先ほどのエピソードは「忍辱にんにく」(自らの修行のために耐え忍ぶこと)という仏教の実践に当てはまります。“智恵あるもの”を目指して精進したいものです。

合掌

「福田寺だより」9月 64号

 

年間行事予定

・1月13日…総代会

・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

4月13日~6月9日…御遠忌特別展「国宝一遍聖絵と時宗の名宝」(京都国立博物館)

↑当山の御本尊阿弥陀如来像が5月14日~6月9日まで出陳されます!

5月26~28日…総本山団体参拝(京都の時宗寺院合同/ご希望の方に詳細をご案内します)

9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)