【今月の掲示板】
「地に空に平和を」- 湯川秀樹
“極楽の鳥”
「2月は逃げる」と言いますが、まさにあっという間に3月を迎えました。京都府では蔓延防止措置が3月6日まで延長され、気軽な外出もままならなくなりました。当寺も2月の写経会は中止とさせていただきました。したいことが自由にできず、時間だけが経つというのは残念でなりません。何か現状でも行える、現状だからこそできる活動を探っていきたいと思います。
さて今年の春のお彼岸は18日(金)~24日(木)までです。彼岸とはさとりの世界、つまり極楽浄土をさしています。彼岸は太陽が真西に傾くことから、西方極楽浄土に思いをはせる日でもあります。この極楽浄土の様子が描かれる経典の一つに『阿弥陀経』があります。当寺では月参りや、法事でもお読みすることが多い経典です。少し紹介しますと、「極楽とはいかなる苦しみない場所で、あらゆるものが金・銀・瑠璃・水晶といった宝石でできている。池には青黄赤白といった蓮の花がそれぞれの光で輝いている。」といった様子です。
さらに白鵠(びゃっこう)・孔雀(くじゃく)・鸚鵡(おうむ)・舎利(しゃり)・迦陵頻伽(かりょうびんが)・共命鳥(ぐみょうちょう)といった6種類の鳥が登場します。孔雀と鸚鵡以外は空想のものもあり馴染みがないかもしれません。これらの鳥は極楽世界でいつも優雅な声で鳴いており、その声はそのまま仏様の教えにほかならず、極楽の人々はその鳴き声を聞き、常に仏・法・僧を心に念じるといいます。そしてこの鳥たちが、阿弥陀仏が形を変えて現れた姿だと説かれています。
仏教には「薫習(くんじゅう)」という言葉があります。お香を焚いたら衣服に薫りが染みついていくように、その人の言動がその人自身の心の中に染みつき影響を与えるという考え方です。また、正しい教えを聞くことでその人に清らかな影響があらわれることを「聞熏習(もんくんじゅう)」といいます。お釈迦様の教えは「聞く」ことが重要だと言われる由縁です。極楽浄土でも妙なる音が聞こえてきて、知らず知らずに清らかな心になっていく、それが鳥の鳴き声で表されているのです。
例えば「お経を聞いても何を言っているのか分からない」、「法話を聞いても直ぐに理解できない、実践できない」というのは至極当然かと思います。お経は基本的に漢文ですし、仏法の実践も簡単ではありません。しかし、聞くだけでも良いのです。聞き心地が良いように音楽のような読経(声明)があるのだと思います。触れる機会さえあれば自然と「熏習」されていき、心に変化が現れるはずです。
お寺でも月例の写経会の前に少しお話させていただいたり、『遊行』誌での法話を書かせていただいております。仏法に少しでも触れる機会にしていただけば有難く思います。
合掌
当山の御本尊である阿弥陀如来像は右袖が垂れていないので「片袖の弥陀」とも言われます。
3月はお庭に咲く沈丁花をモチーフにしております。
お彼岸=極楽浄土ということで、極楽世界に住する迦陵頻伽という鳥(上半身は人)をモチーフにしています。
迦陵頻伽は大変な美声で鳴くと言われ、極楽世界では常に妙なる音楽、鳴き声が聞こえてきます。
「極楽浄福」とは造語ですが、浄福は「信仰によって得られる清らかな幸福」を意味します。極楽はまさに浄福の世界です。
3月から1年間「宗尊親王和歌シリーズ」を始めます。親王像の絵は御奉納いただいたものを参考にしています。宗尊親王は当山の開基(創建者)です。史上初の皇族将軍として鎌倉幕府6代将軍に就き、その後更迭されるなど波乱に満ちたご生涯を過ごされました。和歌に非常に長けられ多くの作品を残されました。
「あはれことし 我が身の春も 末ぞとは しらで弥生の 花を見しかな」
解釈:ああ、今年よ、我が身の春が最後だとは知らずに弥生の花を眺めたことよ(鎌倉から京都に送還後詠んだもので、鎌倉での最後の春を思い起こしている)
猫のひな祭りとミモザです。
お写経を納め、阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。
「勇猛精進(ゆうみょうしょうじん)」とは強く勇ましい志で努力することをいいます。
「一日の計は寅にあり」とは一日の計画・目標は朝に決めることが肝心だということわざです。
左上のハンコは丑年と同じく、中国の古代漢字の「寅」をモチーフにしています。
【3月の写経会は3/13(日)です(蔓延防止措置中であれば中止します)】
*写経会の詳細は こちらから
>「京都時宗道場御朱印巡り」
年間行事予定(令和4年)
・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり
・毎月第4土曜日14時~17時…写経会
・1月9日…総代会
・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)
・4月8日…花まつり(釈尊降誕会)
・9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)