月別: 2021年7月

8月のお便り(令和3年)

【今月の掲示板】

「8月 87号 踊らばおどれ」

“踊らばおどれ”

本格的な夏到来となりました。7月23日に東京オリンピックがいよいよ開会し、毎日熱戦が繰り広げられています。開催までにはコロナ禍での無観客対応や、不祥事の続出などまさに五里霧中の状態で、“五輪霧中”と揶揄される事態になってしまいましたが、やはり始まってしまえば“五輪夢中”とばかりにテレビに釘付けという方も多いのではないでしょうか。様々な困難を乗り越える選手には本当に感動させられますね。

さて8月と言えば、夏休みや夏祭りのイメージを持つかと思います。この夏祭りに欠かせないのが盆踊りです。全国各地で盆踊りは行われていますが、総本山遊行ゆぎょう寺のある神奈川県藤沢市では『遊行の盆』と題された盆踊り大会が毎年盛大に行われています。会場は遊行寺を中心にして、全国三大盆踊りである「阿波あわ踊り」、「西馬音内にしもない盆踊り」、「郡上ぐじょう踊り」が披露されるなど大変にぎやかなお祭りです。「遊行」と題されているのは宗祖一遍上人(初代遊行上人)が全国に広められた「踊り念仏」が盆踊りの起源として有力だからです。

踊り念仏とは鉦や太鼓を使って音頭を取りながら唱える念仏のことです。平安時代の空也上人が始め、一遍上人が広められたといいます。「一遍聖絵」には「小田切おだぎりの里(長野県佐久市)」で念仏を唱えていた一遍上人一行が極楽往生を約束された歓喜のあまり、突発的に踊り始めたことが記されています。その後は踊り小屋と呼ばれる舞台を作り、その上で踊り念仏を行うことも多かったようです。つまり見世物のようにして人を集め、念仏の喜びを分かち合い、念仏信者を増やしていったのです。

ある時、延暦寺塔頭の重豪じゅうごうという僧侶が、一遍上人のもとにやってきて「踊りながら念仏するとはけしからん。」と申し出ました。一遍上人は「跳ねばはね 踊らばおどれ 春駒の のりの道をば 知る人ぞ知る(春の野に駆ける馬のように、跳ねたければ跳ねればよい、踊りたければ踊るがよい。仏法の道は分かる人には分かるものである)」と和歌で答えられました。それでも重豪は納得できず「心の跳ね馬(煩悩)を静めた人ならば、わざわざ踊り跳ねる必要はないであろう」という内容を和歌で返します。さらに一遍上人は「ともはねよ かくても踊れ 心ごま 弥陀の御法みのりと 聞くぞうれしき(理屈抜きに跳ねて踊りなさい。阿弥陀仏の救いは聞くだけで嬉しく体が動くではないか)」と返歌されました。この後、重豪は発心して念仏の行者になったということです。

一遍上人は常々、我執がしゅう(自らの計らい)を捨てた念仏を説かれています。この重豪とのやり取りでも、喜びのまま踊りだしているだけだと仰っています。心や煩悩を制御することではなく、計らいを捨てることを強調しておられるのです。時代が移り変わり、現在の踊り念仏は原型とは違うものになったかもしれませんが、その意味は変わることなく伝承されています。

合掌

 

・8月限定御朱印(盆会・300円)

「盆会」とは、8月の仏教行事である盂蘭盆会の略称です。ヒマワリとホオズキのハンコを押しています。

 

・令和3年8月限定御朱印(踊り念仏・700円)

踊り念仏は宗祖一遍上人が広められた念仏で、鉦をたたき、足をステップし、リズムよく念仏するのが特徴です。
また、現在全国で行われる盆踊りは、踊り念仏に影響を受けて生まれたと言われています。

 

令和3年8月限定御朱印(五輪記念、柄付き和紙、見開き書置き800円)

東京オリンピック・パラリンピックを記念して作りました。金魚は五輪カラーです。
「己に克つ者こそ最上なれ」とはお釈迦様のお言葉で、多くの敵に勝るよりも自己に打ち克つことを目標とせよ、という意味です。

写経奉納限定御朱印(500円・月替わり8月)

ヒマワリと金魚を押しています。
阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。

 

【次回の8月の写経会は中止いたします】

*写経会の詳細は こちらから

 

 

>「京都時宗道場御朱印巡り」

 


年間行事予定(令和3年)

・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり(令和2年10月より)

・毎月第4土曜日14時~17時写経会(令和2年7月より)

・日時未定…総代会

・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

8月の御朱印対応について

令和3年8月の御朱印対応につきましてご案内いたします。

お盆参り等のため、8日~16日には書置きを含め御朱印の授与を中止いたします(御朱印帳のお預けもご遠慮ください)

1~7日、17日~31日はこれまで通り、タイミングが合えば「直書き」、それ以外は「書き置き」か「お預かり」とさせていただきます。ご連絡いただければご予約も可能です。

お預かりのご返送は、郵送の場合、随時させていただきますが、取りに来ていただく場合は8~16日以外でお願いいたします。

また24日、29日の午前中は直書き、本堂拝観可能日といたします。

*郵送による受付は随時いたします。

 

・お隣の荘厳寺様との同時受付について

上記と同様ですが、お預かりや郵送のご返送は17日以降となります。

 

*8/19追記

御朱印対応日に変更がありますので下記をご参考にしてください。
対応日以外はタイミングが合えば直書きします。
*緊急事態宣言を受けて、今月は本堂拝観は中止にしますのでご了承ください(外でお待ちいただく可能性もございます)

オリジナル写経用紙

有難いことに日頃より当寺へたくさんのお写経をご奉納いただいております。ご納経いただきましたお写経は本堂にてお名前を読み上げて祈願させていただいております。

この度、より身近に一遍上人の教えに触れていただきたく、オリジナルの写経用紙を作成させていただきました。

玄関でお声がけいただければ、和紙に印刷したものをお渡しさせていただきます(無料です)。

下記からもダウンロードしていただけます。

もちろん今まで通り「般若心経」など、ほかの経典を奉納していただいても構いません。

福田寺奉納写経用紙

 

六十万人頌ろくじゅうまんにんじゅ」と「六字無生頌ろくじむしょうじゅ」について

文永11年(1274)、一遍上人が熊野本宮証誠殿しょうじょうでん参籠さんろうし、熊野権現くまのごんげんの夢告により感得したのが「六十万人頌」です。四句の頭文字をとると「六十万人」となることからこのように呼ばれます。また六十万人はすべての人々を表しているとも言われます(全国の国々は六十余州と呼ばれました)。さらに同じ覚りの内容を表す詩句に「六字無生頌」があります。

一遍上人は熊野を出た後、全国を遊行しながら「南無阿弥陀佛  決定往生けつじょうおうじょう  六十万人」と書かれた念仏札を人々に配られました(賦算ふさんといいます)。

 

六字名号一遍法ろくじみょうごういっぺんぽう

十界依正一遍体じっかいえしょういっぺんたい

万行離念一遍証まんぎょうりねんいっぺんしょう

人中上々妙香華にんちゅうじょうじょうみょうこうげ

「南無阿弥陀佛」の六字名号は、生死しょうじや相対差別を超えた絶対の教法である。

一たび念仏を称えれば、迷いの世界も悟りの世界も一体となり、凡夫と聖者の区別もなくなる。

あらゆる自力の行を離れ、はからいを捨てた念仏に往生のあかしがある。

このような心構えで念仏をとなえる人こそ、泥中に咲く白蓮花びゃくれんげのような素晴らしい人である。

 

六字之中ろくじしちゅう 本無生死ほんむしょうじ 一声之間いっしょうしけん 即証無生そくしょうむしょう

六字名号の中には、もとより生死(平生へいぜい・臨終)といった区別はなく、

ただ今となえる念仏こそ、生死を超えた悟りなのである。