【今月の掲示板】
“踊らばおどれ”
本格的な夏到来となりました。7月23日に東京オリンピックがいよいよ開会し、毎日熱戦が繰り広げられています。開催までにはコロナ禍での無観客対応や、不祥事の続出などまさに五里霧中の状態で、“五輪霧中”と揶揄される事態になってしまいましたが、やはり始まってしまえば“五輪夢中”とばかりにテレビに釘付けという方も多いのではないでしょうか。様々な困難を乗り越える選手には本当に感動させられますね。
さて8月と言えば、夏休みや夏祭りのイメージを持つかと思います。この夏祭りに欠かせないのが盆踊りです。全国各地で盆踊りは行われていますが、総本山遊行寺のある神奈川県藤沢市では『遊行の盆』と題された盆踊り大会が毎年盛大に行われています。会場は遊行寺を中心にして、全国三大盆踊りである「阿波踊り」、「西馬音内盆踊り」、「郡上踊り」が披露されるなど大変にぎやかなお祭りです。「遊行」と題されているのは宗祖一遍上人(初代遊行上人)が全国に広められた「踊り念仏」が盆踊りの起源として有力だからです。
踊り念仏とは鉦や太鼓を使って音頭を取りながら唱える念仏のことです。平安時代の空也上人が始め、一遍上人が広められたといいます。「一遍聖絵」には「小田切の里(長野県佐久市)」で念仏を唱えていた一遍上人一行が極楽往生を約束された歓喜のあまり、突発的に踊り始めたことが記されています。その後は踊り小屋と呼ばれる舞台を作り、その上で踊り念仏を行うことも多かったようです。つまり見世物のようにして人を集め、念仏の喜びを分かち合い、念仏信者を増やしていったのです。
ある時、延暦寺塔頭の重豪という僧侶が、一遍上人のもとにやってきて「踊りながら念仏するとはけしからん。」と申し出ました。一遍上人は「跳ねばはね 踊らばおどれ 春駒の のりの道をば 知る人ぞ知る(春の野に駆ける馬のように、跳ねたければ跳ねればよい、踊りたければ踊るがよい。仏法の道は分かる人には分かるものである)」と和歌で答えられました。それでも重豪は納得できず「心の跳ね馬(煩悩)を静めた人ならば、わざわざ踊り跳ねる必要はないであろう」という内容を和歌で返します。さらに一遍上人は「ともはねよ かくても踊れ 心ごま 弥陀の御法と 聞くぞうれしき(理屈抜きに跳ねて踊りなさい。阿弥陀仏の救いは聞くだけで嬉しく体が動くではないか)」と返歌されました。この後、重豪は発心して念仏の行者になったということです。
一遍上人は常々、我執(自らの計らい)を捨てた念仏を説かれています。この重豪とのやり取りでも、喜びのまま踊りだしているだけだと仰っています。心や煩悩を制御することではなく、計らいを捨てることを強調しておられるのです。時代が移り変わり、現在の踊り念仏は原型とは違うものになったかもしれませんが、その意味は変わることなく伝承されています。
合掌
「盆会」とは、8月の仏教行事である盂蘭盆会の略称です。ヒマワリとホオズキのハンコを押しています。
踊り念仏は宗祖一遍上人が広められた念仏で、鉦をたたき、足をステップし、リズムよく念仏するのが特徴です。
また、現在全国で行われる盆踊りは、踊り念仏に影響を受けて生まれたと言われています。
東京オリンピック・パラリンピックを記念して作りました。金魚は五輪カラーです。
「己に克つ者こそ最上なれ」とはお釈迦様のお言葉で、多くの敵に勝るよりも自己に打ち克つことを目標とせよ、という意味です。
ヒマワリと金魚を押しています。
阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。
【次回の8月の写経会は中止いたします】
*写経会の詳細は こちらから
>「京都時宗道場御朱印巡り」
年間行事予定(令和3年)
・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり(令和2年10月より)
・毎月第4土曜日14時~17時…写経会(令和2年7月より)
・日時未定…総代会
・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)
・9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)