今月の掲示板
“仏教の豊かさ”
草木の葉が日ごとに彩りを変えていきます。秋は「実りの秋」、「豊穣の秋」とも申しますが、穀物や果物の収穫によって人々が“豊かさ”を実感する季節だということでしょう。
この豊かさは「幸福度」とも言い換えることができるかと思います。国連が毎年発表している「世界幸福度ランキング」で日本は156ヶ国中62位でした。「人口あたりのGDP・社会支援の充実度・健康寿命・人生における選択の自由度・社会における寛容度・腐敗に関する認識度」の6つ項目でランキングされるということですが、日本は決して上位ではなくむしろ先進国では最低レベルなのです。6項目のうち後半の3項目で精彩を欠いたようですが、これにはなんとなく納得できる部分もあるかと思います。
また大人に限ったことではなく、先月、7年ぶりに実施された国連児童基金(ユニセフ)の子供の幸福度調査において、日本は先進国38ヶ国中20位という結果でした。体の健康の分野では1位となる一方、精神的な幸福度は37位となっており顕著な差が見て取れます。
この調査を全面的に真に受ける訳ではありませんが、それでもやはり“豊かさ”への課題はまだまだあるということでしょう。豊かさには物質的なもの、精神的なものの2つがあるかと思います。仏教ではこのうち精神面の豊かさを上位に置きます。もちろんお金や、食べ物なども必要不可欠ではありますが、物質的なものは外からの影響も強く、幸福も不安定かつ一時的なものです。また、つい人は物質的な幸福を得るとさらに欲望を高め、必要以上、際限のない欲望を出してしまいがちです。これを三大煩悩のうちの貪欲といいます。満たされなければストレスは増大し、外との不和にも繋がります。
精神的な豊かさというものは自分の内側から来るものです。先ほどの物質的な幸福が外から与えられるものであるならば、精神的な幸福は内側から与えるものであるかと思います。他者に利益をもたらすことで自分も幸福になるということです。この限られた世界で、分かち合い、共に生きるという精神は自他共に幸福を得られる鍵となりましょう。仏教で最高の境地である涅槃(覚り)はこの精神の充足が欠かせません。
仏教エピソードの一つとして「4人の妻を持つ男」というお話があります。ある男には4人の妻がおり、第1から第3夫人は日頃可愛がったり大切にしたりしていたのに、男の旅立ちにはついてきてはくれず、大事にしていなかった第4夫人だけが旅の付添いを申し出てくれ、この第4夫人の有難みに気づくという内容です。ここで第1、第2、第3夫人に喩えられているのは肉体・財産・家族(親族)で、旅立ちとは「死」のことです。肉体や財産などはいくら大事にしていてもあの世にもっていくことはできません。そして第4夫人とは心や生前の行いを指します。心は死に帰するにも付随し、生前の行いは遺された人々へも影響を与えます。
“気づくのが遅かった”とならないようにしたいものです。
合掌
【次回の写経会開催予定:10月24日午後2時より】
*写経会の詳細は こちらから
*今月から「京都時宗道場御朱印巡り」が始まります*
年間行事予定
・1月12日…総代会
・2月15日14時…🈠フラワーアレンジメント教室
【参加費1,000円、申込締切1/31、持物/花切はさみ(あれば)】
・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)
・第4土曜日14時~17時…写経会(令和2年7月より)
・4月頃~…京都時宗寺院御朱印めぐり *開始延期→10月1日より開始決定
・9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)