11月のお便り(令和3年)

【今月の掲示板】

 

福田寺だより 11月 90号

“紅葉と人生”

 

秋も深まりを見せ、これから紅葉が楽しみな季節がやってまいります。紅葉は葉っぱの老化現象とされるそうで、日照時間の短い冬は水分を逃がさないように木から葉が落とされます。その前段階として葉を緑に見せている色素が分解され黄色く見え、また新たにアントシアニンという赤い色素が作り出され、紅葉が完成するそうです。古語では紅葉することを「もみづ(づから)」といい、これが名詞化され「もみぢ(じ)」になったそうです。

かの良寛禅師が「裏を見せ 表を見せて 散るもみじ」と詠まれたように、紅葉は鮮やかな色彩の変化を見せる反面、散って生を終えるという儚さを持ち合わせています。老化現象があるのも人の生涯と似ていますね。ところで、お釈迦様がいらっしゃった頃のインドでは、人生の理想の在り方として「四住期」が考えられました。

学生期…先生や師匠に学び、学生として勉学に励む

家長期…家の主として家族を支える

林住期…人里離れた山林で修行し真理を求める

遊行期…一所不住の旅をし、身につけた真理を人々に布教し利益を与える

の4つです。お釈迦様や一遍上人もこの四住期になぞらえられるような生涯を遂げられています。特にお二方に関しては最晩年の遊行期が非常に長いことが特筆されます。お釈迦様の遊行期間は45年間、一遍上人も16年間、共に亡くなるまで遊行を続けられました。

現代の私たちに林住期や遊行期を徹底するということは簡単ではありません。しかし日々に忙殺される中で参考にできる意味合いはあるのではないかと思います。例えば、林住期のように自分の内面を見つめることを大事にし、遊行期のように他人の利益になることを心掛ける、と言うようなことです。実際の年齢には関係なく、思い立った今実践するという方が仏教らしいのではないかとも思います。

さて一遍上人は色濃い紅葉のような晩年を過ごされましたが、その身命に執着されることはありませんでした。死期を悟られた和歌には「旅衣たびごろも 木の根かやの根 いづくにか 身の捨てられぬ 処あるべき(長く旅を続けてきた我が身であって、木の根元であれ茅の根元であれ、どのような処で最期を迎えても悔いはない)」と詠まれました。誠に「捨聖すてひじり」と称えられるべき金言であります。

合掌

 

・11月限定御朱印(冬隣・300円)

冬隣ふゆどなりとは、冬の気配が感じられる晩秋のことをいいます。
当寺に植わるツワブキとカラスウリをモチーフにしています。

 

・令和3年11月限定御朱印(錦楓・700円)

錦楓きんぷうとは錦のように美しい紅葉という意味があります。当寺の本堂を消しゴムハンコにしました。
「裏見せ表見せ」は良寛禅師の和歌からです。

 

令和3年11月限定御朱印(旅の僧、黄色柄付き和紙、見開き書置き800円)

黄色の和紙を使用しています。
和歌は一遍上人作で「旅ごろも 木の根茅の根 いづくにか 身の捨てられぬ 処あるべき(長く旅を続けてきた我が身であって、木の根元であれ茅の根元であれ、どのような処で最期を迎えても悔いはない)」です。

 

写経奉納限定御朱印(500円・月替わり11 月)

ミノムシと布団にくるまる猫です。
阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。

 

【次回の写経会は11月27日です(緊急事態宣言が京都府下に出ている場合は中止)】

*写経会の詳細は こちらから

 

 

>「京都時宗道場御朱印巡り」

 


年間行事予定(令和3年)

・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり(令和2年10月より)

・毎月第4土曜日14時~17時写経会(令和2年7月より)

・日時未定…総代会

・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)