10月のお便り(令和3年)

【今月の掲示板】

実るほど頭を垂れる稲穂かな

福田寺だより(10月 89号)

“仏法をまとう”

 

お寺ではお盆、お彼岸と大きな行事が無事に終わりました。コロナ禍で何もかもが通常通りとはいきませんが、その中でも出来ることを模索していきたいと思います。

さて少し前の事ではありますが、通っている書道教室で初めて条幅の作品を書かせていただきました。せっかくなのでお経の言葉を書きたいと思い「袈裟被着偈」と呼ばれる20文字の偈文を選びました。次のような文言です。

大哉解脱服だいさいげだっぷく 無相福田衣むそうふくでんね 被奉如戒行ひぶにょかきぎょう 廣度諸衆生こうどしょしゅじょう

意訳すると「大いなるかな、解脱へと導く服よ、姿形にとらわれない悟りを実らせる福田に例えられる衣よ。謹んでこの衣(袈裟)を身に着け、仏法に従い持戒と修行に努め、広く衆生を悟りへと導こう。」となります。

これは福田衣(袈裟)の威徳を称えた偈文で、私たち僧侶は法会の前や袈裟を身に着ける際にこの偈文をお唱えします。お分かりの通りここに出てくる「福田」は当山、福田寺に冠せられる言葉でもあります。以前、お便りの中で福田寺の由来について書かせていただいたとき、「福田」とは“福が実る田んぼである”とお話させていただきました。水田に良い種がまかれれば良い稲穂が実るように、人間も善い行いをすれば福徳が実るというお釈迦様の教えです。

袈裟を見ていただくと、たくさんの布が縫い合わされたような形をしているのが分かるかと思います。全体を見れば田んぼのように見えてきます。お釈迦様は先ほどの福徳が実る教えをこの袈裟に表されたのです。言い換えればこの福田衣(袈裟)はお釈迦様の教え(仏法)そのものとである言うことができます。ですから袈裟は仏教では非常に大切なものとして扱われます。私が初めて本山に修行に行ったときは袈裟も法衣も何が何だか分からない状態でしたので、つい袈裟を直接畳に置いてしまい大変怒られました(お経の本も畳に直置きすることはいけません)。また、歩きながら袈裟をつけること、お手洗いで外さないこともご法度です。衣をまとっているというよりは仏法をまとっているような心構えをしなければいけません。一遍上人も“袈裟は「対(なら)ぶもの無き仏法を信じる心」を表している”と説かれました。

在家の方用には輪袈裟などの袈裟もありますので、お持ちであれば仏様のように大切にしていただき、ご法要の際など積極的に着用してみてはいかがでしょうか。

合掌

 

・10月限定御朱印(菊日和・300円)

菊が咲く頃の秋の気持ちの良い天気を指す季語です。

 

・令和3年10月限定御朱印(豊楽・700円)

夕焼けと稲穂をイメージしています。
豊楽は「人々が豊かに楽しく暮らしている様子」という意味です。「ほうらく」とも「ぶらく」とも読みます。
「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」-優れた人ほど謙虚であるという例えです。

 

令和3年10月限定御朱印(実りの秋、柄付き和紙、見開き書置き800円)

黄土色のキラキラした和紙です。
葡萄と栗の消しゴムはんこに宗尊親王の和歌を書いています。
「世をおさめ 民をたすくる 心こそ やがてみのりの誠なりけれ」
〈(皇族将軍として)世の中を正しく治め、人々の暮らしを豊かにしようとする心こそが、仏法の真実なのであるなあ〉
この歌での「みのり」は「御法」と書きますが、秋の「実り」とかけて選ばせていただきました。

写経奉納限定御朱印(500円・月替わり10月)

芋掘りするリスと赤とんぼ、夕日を押しています。
阿弥陀様から「みました」の証を頂いてください。

 

【次回の写経会は10月23日です(緊急事態宣言が京都府下に出ている場合は中止)】

*写経会の詳細は こちらから

 

 

>「京都時宗道場御朱印巡り」

 


年間行事予定(令和3年)

・通年…京都時宗寺院御朱印めぐり(令和2年10月より)

・毎月第4土曜日14時~17時写経会(令和2年7月より)

・日時未定…総代会

・3月22日14時…春季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)

9月22日14時…秋季彼岸施餓鬼法要(加薬ご飯弁当のお振舞いをします)